YouTubeチャンネル
「アリストテレス大学【思考力を高める】」
ビジネスやマーケティング、
スポーツ、
さらにはYouTubeのチャンネル運営など、
あらゆる「競争・勝ち負け」が存在する場面で
応用できるランチェスター戦略について、
アニメーションを用いて
非常に体系的にわかりやすく解説しています。
1. ランチェスター戦略の起源と歴史
きっかけ
第一次世界大戦の際、
イギリス人のエンジニアである
F.W.ランチェスターが、
各地の空中戦や戦闘を分析して発見した
「戦闘の数理モデル」
(ランチェスターの法則)
が起源です。
発展
第二次世界大戦中に
アメリカ海軍のクープマンらが
これを軍事的な作戦研究
(クープマンモデル)へと発展させました。
ビジネスへの応用
戦後、
日本の田岡信雄氏が
これらの軍事研究をマーケティング理論へと
応用・体系化したことで、
現在の「ランチェスター戦略」が誕生しました。
(名前の響きから
海外製と思われがちですが、
実質的には日本で磨き上げられた
ビジネス戦略です)
2. ランチェスターの「第1法則」と「第2法則」
第1法則(接近戦・一騎打ち戦)
戦闘力= 武器の性能(質)× 兵力数(量)
剣や槍で戦うような
一対一の接近戦を指します。
後ろの味方が
同時に攻撃に参加できないため、
純粋な兵士一人ひとりの戦闘力と
「人数(量)」の差に比例して
勝敗が決まります。
第2法則(広域戦・確率戦)
戦闘力 × 武器の性能(質)× 兵力数の2乗(量の2乗)
小銃や大砲、ミサイルなど、
全員が同時に攻撃に参加できる
「飛び道具を使った遠隔戦」
に適用されます。
全員で一斉射撃できるため、
人数の差が単純な比例ではなく
「2乗(乗数効果)」になって
相手に致命的な打撃を与えます。
導き出される結論
自分たちが
「強者(人数が多い)」なら、
数の差が2乗で効いて有利になる
「第2法則(遠隔戦)」
に持ち込むべき。
自分たちが
「弱者(人数が少ない)」なら、
大軍の2乗効果を無効化できる狭い戦場での
「第1法則(接近戦)」
に持ち込むべきです。
3. シェア理論における「強者」の定義
一般的には
「業界上位」を強者と呼びがちですが、
ランチェスター戦略における
「強者」は
「市場シェア1位で、
かつシェア26.1%以上を確保している企業」
ただ1社のみを指します。
2位以下の企業
(例:自動車業界におけるホンダや日産など)は
すべて「弱者」に分類されます。
シェアの3大目標値
① 73.9%(上限目標値)
これ以上取ると
市場独占の弊害(規制など)が出るレベルの
圧倒的ナンバーワン。
② 41.7%(安定目標値)
トヨタなど多くの大企業が目安とする、
業界で首位を盤石にするための数値。
③ 26.1%(下限目標値)
強者として認められる、
最低限死守すべきライン。
2位に甘んじてはいけない理由は、
「1位の圧倒的なブランド認知力」
にあります。
例:日本で1番高い山は
「富士山」と誰もが知っていますが、
2番目に高い山「北岳」を
パッと答えられる人は
極端に少ないのと同じです。
4. 弱者の戦略:差別化と「5大戦法」
新規参入者や
無名の個人(弱者)は、
すでに市場を押さえている強者のマネ(ミート)をしても、
クオリティや資金力で勝てず自滅します。
弱者は強者と異なる
独自の土俵や価値を打ち出す
「差別化戦略」を徹底する必要があります。
弱者が勝つための
具体的な「5大戦法」は以下の通りです。
1. 局地戦(ジャンルを絞る)
大軍を相手にする際、
戦うエリアを狭く限定すれば、
その局所においては
自分たちの戦力を
一時的に集中させて
有利な数的状況を作り出せます。
YouTubeでの応用
総合的なジャンルではなく、
まずは「特定の漫画」や
「さらに特定の登場人物」だけに焦点を絞り、
そこで圧倒的1位になってから
徐々に他ジャンルへ拡張していくアプローチです。
2. 一騎打ち戦(ライバルが少ない場所を選ぶ)
ライバルがひしめく激戦区(レッドオーシャン)を避け、
競争の少ないブルーオーシャンで戦うべきです。
芸能人が多数参入するような
ゲーム実況やバラエティなどは
弱者には厳しいため、
ライバルの少ない穴場を見つけます。
3. 接近戦(顧客との距離を縮める)
弱者が接近戦を選ぶ
最大のメリットは、
お一人おひとりの顧客(視聴者)と
密度の高いコミュ二ケーションを取れる点です。
YouTubeでの応用
大手チャンネルでは不可能な
「全コメントへの丁寧な返信」
などを徹底することで、
初期の熱狂的なコアファン(信頼関係)を構築できます。
4. 一点集中戦(弱みを捨て、強みを尖らせる)
すべての課題を
まんべんなく平均値にしようとせず、
何かを大胆に
「捨てる(諦める)」ことで、
限られた全リソースを
ひとつの強みだけに一極集中させます。
ドラッカーが言うように、
成果は強みによってのみ生まれます。
YouTubeでの応用
撮影機材、服装、テロップ、効果音、BGMなどを
最低限に削ぎ落とす代わりに、
「企画」と
「わかりやすいアニメーション制作」だけに
持てる全エネルギーを注ぎ込んで
尖らせる手法です。
5. 陽動戦(敵の隙を突く)
相手が正面のメイン戦場に
気を取られている隙に、
相手の弱い部分や
手薄な盲点を見つけて
そこをピンポイントで突きます。
YouTubeでの応用
YouTube攻略系ジャンルの先発大手が
「喋りとテロップ(トーク動画)」
をメインにしていたのに対し、
後発の弱者だったYouTubeマスターD氏は
「スライドを用いたプレゼン形式」
にすることで、
わかりやすさという点で
隙を突いて急成長を遂げました。
5. 強者の戦略:ミート(無効化)と「5大戦法」
弱者での戦いを勝ち抜き、
めでたく「強者(1位)」になった後は、
戦略を真逆に切り替える必要があります。
強者の最大の武器は、
弱者の差別化(尖った個性)を
同じ方法や圧倒的な物量でマネして上書きし、
無効化する「ミート戦略」です。
かつてソニーが開発した
独創的な商品を、
強者の松下電器が
圧倒的な販売力・ブランド力で
真似して上書きし、
かつて「マネした電器」と
呼ばれた戦略などが代表例です。
強者が取るべき「5大戦法」は以下の通りです。
① 広域戦(ジャンルを広げる)
特定の狭い市場に留まらず、
圧倒的な知名度を活かして
ターゲット領域をどんどん広げていきます。
例:中田敦彦氏のYouTube大学が、
初期の歴史専門から、
現代ではお金・IT・文学・アニメなど
全方位にジャンルを拡張して
お客を総取りしている例。
② 乱戦(ライバルを力でなぎ払う)
弱者のときに避けていた激戦区であっても、
圧倒的な資本力・知名度を武器に殴り込みをかけ、
有象無象の競合を一掃して市場を奪います。
(例:知名度を武器にYouTubeのゲーム実況やバラエティに参入し、
一瞬で登録者をかっさらう人気芸能人など)
③ 遠隔戦(ファン全体を一度に喜ばせる)
登録者が多いため個別のコメント返信など1対1の密な接近戦は諦め、
代わりに豪華な大型コラボ企画などを打ち出し、
コミュニティ全体(マス)に向けて遠隔から価値を届けます。
④ 総合戦(総合力でねじ伏せる)
弱者の一点突破に対して、
お抱えの編集チームや豊富な予算、
最新の撮影環境などの「総合力」で
まんべんなく高いクオリティを維持し、
弱者が逆転する余地を完全にゼロに抑え込みます。
⑤ 誘導戦(有利なルールに引き込む)
資本力の勝負(価格競争、制作費をかけた大掛かりな企画など)、
自分たちが絶対に負けないフィールドに弱者を誘い込み、
体力勝負で自然淘汰させます。
6. 番外編コラム:YouTubeは「質」と「量(本数)」どっちが大事?
ランチェスターの数理モデルを用いて
「YouTube動画はクオリティ(質)と
投稿本数(量)のどちらを重視すべきか」
をアリストテレス氏が考察しています。
結論は「量(投稿本数)」の勝ち
チャンネルの戦力は
「1本あたりの動画クオリティ(質)」×「投稿本数(量)」
で表されます。
接近戦(第1法則)と
遠隔戦(第2法則)の違いは、
物理的なスペースの制約
(同時に全員が戦いに参加できるかどうか)
でした。
オンライン空間であるYouTubeには
物理的な制約がなく、
アップした動画は
何万人もの人に同時に視聴されます。
そのため、YouTubeは
兵力数の差が2乗になって効いてくる
『第2法則(遠隔戦)』
に該当します。
数式上、
動画の投稿本数(量)が
「2乗」のウェートを持って影響してくるため、
一定以上の基準クオリティを
クリアしているのであれば、
クオリティを極限まで高めるよりも、
投稿本数を増やした方が
チャンネルの総戦闘力は
飛躍的に高まると結論づけています。